東北大学加齢医学研究所 臨床腫瘍学分野 東北大学 腫瘍内科

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抗がん剤治療を受けられる皆様へ

(1)はじめに

私たち腫瘍内科では、進行した悪性腫瘍(がん)に対して、抗がん剤、放射線、痛みのケア、その他さまざまの薬物を用いて治療を行いますが、その中でもっとも治療の中心となるものが抗がん剤です。患者さんの病気の種類によっては、他の治療法が中心的役割を果たす場合もありますが、ここでは抗がん剤治療を受けられる皆さんの不安や疑問が少しでも緩和されるようにこの冊子を作成しました。これを読めばすべてわかるという訳では決してありません。わからないことはどしどし担当医に質問をして下さい。

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(2)抗がん剤とは?

抗がん剤は体の中の悪性の細胞(がん細胞)を殺す薬です。50年ほど前から薬として使われるようになり、その種類もどんどんと増えています。現在使われている抗がん剤の多くは様々な副作用を持っています。また中にはほとんど副作用のない薬もあります。副作用についてはあとで説明します。

また抗がん剤の効果には、たとえ同じ病気の種類であっても個人差があり、それが抗がん剤治療を難しくしています。効果にばらつきがあるのと同様に、副作用も個人差があり、同じ薬を使っても副作用の多くでる人と少ない人がいます。それぞれの患者さんに投与される抗がん剤の種類や投与方法、副作用に関しては担当医にご確認下さい。

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(3)抗がん剤の使用方法

注射、飲み薬、塗り薬、ざ薬などがありますが、その多くは注射薬です。注射薬の場合、点滴または静脈注射による投与法となります。中には24時間持続で点滴を行わなければならないものも含まれます。また抗がん剤が体の中の一部分に留まると強い毒性がでる場合があるので、安全に投与できるように血管内に留置する樹脂でできた針や、細い樹脂の管(カテーテル)を埋め込む場合があります。治療が安全にスムーズに行われるための処置ですのでご理解下さい。

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(4)抗がん剤の治療の効果

抗がん剤の治療効果の判定は、血液検査、画像診断(CT,X線写真、エコー、MRI、内視鏡検査など)で行います。がんの大きさが小さくなるだけではなく、症状の軽減や、生存期間の延長などを総合評価して行っています。治療中は患者さんにはこういう検査のお願いをすると思いますがご協力下さい。正確に治療効果を判定することは、現在行っている治療法の是非を判断するだけでなく、今後同じ治療を受ける患者さんへの恩恵も大きいものです。どうか宜しくお願いします。

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(5)抗がん剤の主な副作用とその対策

抗がん剤の副作用には、投与後すぐにおきるもの(急性の副作用)と時間が経ってからおきてしばらく続くもの(亜急性)と長い治療の経過のものでおきてくるもの(晩発性)の副作用があります。副作用として有名なものは悪心嘔吐・脱毛・骨髄抑制 ・腎障害・神経障害などがあります。以下、それぞれの副作用について簡単に解説します。

急性:薬物アレルギー症状、悪心嘔吐、血管痛など。

亜急性:悪心嘔吐、下痢、脱毛、骨髄抑制 、間質性肺炎、腎機能傷害、神経障害など。

晩発性:皮膚色素沈着、神経障害、2次がんなど。

副作用に対しては様々な予防薬や治療薬が開発されており、あらかじめ予測される場合には予防薬の投与が行われます。また運悪く副作用がおきてしまった場合には治療が行われます。副作用が少なからずおきることは現在使用されている抗がん剤では避けられない部分でもあり、病気を放置していた場合におきる最悪の事態を回避するためとご理解下さい。

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(6)抗がん剤投与中の日常生活の注意

なるべく気楽な気持ちで受けて下さい。

抗がん剤の投与によって、肉体的にはストレスがかかります。無理せず出来るだけ体の安静を計って下さい。もちろんずっと臥床している必要はありません。トイレ歩行や散歩程度であれば支障はありませんが、薬剤の投与ルートがはずれたりすることのないようご注意下さい。面会の方、特に風邪や下痢の人との接触は避けて下さい。

無理な食事はしないで下さい。

悪心、嘔吐が出現する可能性がある抗がん剤を使った場合には特に重要です。食べ物の臭いで吐き気を誘発したり、嘔吐することで体力を消耗します。食事は控えめにして、食べられない場合は、すみやかに看護婦か担当医に報告して下さい。体力低下や脱水状態の予防のために、点滴による栄養補給をお願いする場合があります。

治療中の入浴・排尿・排便について。

特殊な場合を除いて入浴は可能ですが、気分の悪いときは避けて下さい。特に高血圧や心臓病、脳血管疾患にかかったことのある患者さんは控えましょう。また排尿、排便は抗がん剤の副作用を知る上でも重要な情報となります。性状や色、回数などいつもと違う場合は注意して観察し看護婦または担当医に報告して下さい。

性生活について。

性生活には支障はありませんが、妊娠は避けて下さい。抗がん剤の中には胎児への影響のはっきりしているものもあります。また体力が低下している時や、パートナーが感染症にかかっている場合は避けましょう。

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(7)民間療法や代替療法、民間薬について

親戚や知人に進められたり、さまざまなメディアからがんに効くとして入手にする機会があると思いますが、基本的には当科で行う治療法との併用は避けて頂くことを希望します。どうしてもという場合は、病院で行う治療と相互作用して悪影響を及ぼす場合がありますので、必ず担当医へ報告して下さい。特に治療に支障のない民間薬や治療法については許可をする場合もあります。

治療への影響のはっきりしない民間薬・民間療法:
AHCC、サメ軟骨、キチン・キトサン、アガリクス茸、プロポリス、天仙液、など。

治療に影響の少ないと思われる民間薬・民間療法:
ビタミン剤(カルシウムを含まない)、栄養ドリンク、ローヤリゼリーなど。

針やお灸
※記載されていないものについてはそれぞれお尋ね下さい。

その他、疑問に思ったり、わからないことは遠慮せずにどんどん担当医師に質問して下さい。

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