東北大学加齢医学研究所 臨床腫瘍学分野 東北大学 腫瘍内科

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対象疾患

食道がん

我が国においては年間約2万人の発症者があり、その8割以上が男性です(がんの統計‘13、公益財団法人がん研究振興財団)。

発症には飲酒や喫煙習慣との因果関係が認められます。その組織型は、我が国では大部分が扁平上皮癌です。症状は嚥下困難、胸骨後部痛、胸部不快感などで始まることが多く、確定診断は内視鏡下生検によってなされます。
治療法は、病期によって異なり早期のものでは内視鏡切除や外科的切除が中心となりますが、進行期のものでは放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)、さらにそれらを組み合わせた化学放射線療法が行われてきました。

近年、臨床病期II~IIIの場合には、術前化学療法によって予後が改善することが示され、標準治療と位置づけられています。
合併症などにより手術が難しい場合には化学放射線療法が行われます。進行例では、抗がん剤治療が治療の中心となりますが、がんによって食道の通過障害が認められる場合には放射線療法を併用する場合もあります。

使用される抗癌剤としては、5-FU、シスプラチン、ネダプラチン、ドセタキセル、パクリタキセルなどがあります。

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胃がん

胃がんの罹患は40歳代後半から上昇し60代に発症のピークがあります。
罹患率は男性では第1位、女性でも乳がん、大腸がんに次いで第3位です。部位別死因では全体で第2位と上位を占める疾患です。

胃がんの抗がん剤治療使用には2種類の方法があります。
ひとつは手術の後に再発を防ぐ目的で行われる術後補助化学療法です。通常、ティーエスワンという経口抗がん剤を1年間程度服用することにより再発の危険性を減らすことが確認されています。二つ目は転移があり進行した状態で発見された(切除不能胃がん)場合、または術後に再発してしまった(再発胃がん)場合です。
この場合には残念ながら、抗がん剤で完全にがんを治すことは大変難しいのが現状です。

しかし、新規抗がん剤の開発も進んでおり様々な治療法が開発されてきています。
この目的で用いられる主な抗がん剤は5-フルオロウラシル、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系薬剤(パクリタキセルとドセタキセル)です。
効果が最もあり通常最初に行う治療は5-フルオロウラシル系薬剤であるティーエスワンとシスプラチンを組み合わせた治療法です。

近年、胃がんの約20%にHER2タンパクを過剰に発現することが報告されています。
このような胃がん患者さんにHER2を抑制する分子標的治療薬(ハーセプチン)を投与すると予後がさらに改善することが報告されています。

当科ではまず胃がん組織を検査しこの薬剤が使えるか確認してから治療方針を決定いたします。

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大腸がん

大腸がんは近年食生活の欧米化に伴い急速に増加しており罹患率は胃がんに追いつく勢いです。罹患は50歳代から増加し60代が一番多いのですが稀に若い方にもみられます。若年者の場合、家族の遺伝的な素因も確認する必要があります。

大腸がんには通常、外科手術が行われますが、切除不能・再発あるいは転移のある場合、抗がん剤の治療が行われます。
大腸がんの抗がん剤治療はこの10年間に大幅に進歩し、生存期間や「生活の質」は明らかに改善しています。抗がん剤という言葉の方に拒否感をもたれている方でも一度は治療を受けてみられることをお勧めします。

用いられる主な抗がん剤は5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン、アバスチン、ロイコボリンです。外来通院で治療を受けられるように通常はCVポートと呼ばれる皮下埋め込み型の中心静脈カテーテルを体内に埋め込み、これらの薬剤のいくつか組み合わせ持続的に投与します。

近年では分子標的治療薬の開発が急速に進んでおり、次々と臨床応用されています。
大腸がんのRAS遺伝子に変異がない場合、分子標的治療薬(EGFR阻害薬)の治療効果が期待できることが報告されています。このため全ての大腸がん患者さんのRAS遺伝子変異の有無を確認してから治療方針を決定いたします。

大腸がんの場合、抗がん剤の効果が非常に期待できるため肝転移、肺転移のある方でもまずは抗がん剤治療により腫瘍を小さくし根治手術が可能となる場合もあります。

当科では胃腸外科、肝胆膵外科と定期的なカンファレンスを行い、最適な治療を提供します。

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乳がん

我が国の女性の乳がんは、30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークを迎えます。女性が患うがんの中で最も多いがんであり、年々増加傾向にあります。

発症の危険因子としては、乳癌の家族歴、乳腺増殖性疾患の既往、早い初潮、遅い閉経、遅い第1子出産、少ない出産回数、ホルモン補充療法、肥満、高脂肪食、アルコール摂取などがあり、症状としては、腫瘤触知、疼痛、異常乳頭分泌物、浮腫、発赤、変形があります。

乳がんの治療法には、他の癌同様、手術療法、放射線療法、薬物療法があります。
その中で、薬物療法は、術前化学療法、術後化学療法、転移性乳がんに対する治療としてなされており、年齢、閉経状況、原発巣、転移巣におけるホルモン受容体とHER2タンパクの発現状況によって、ホルモン療法、抗がん剤、分子標的治療薬の3種類を用いて治療法が選択されます。

近年、さまざまな新薬、特に分子標的治療薬が開発、使用できるようになり手術後の生存率や再発乳がんの治療成績も飛躍的によくなってきています。

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造血器腫瘍

造血器腫瘍には悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫など様々な悪性腫瘍があります。
それらの中で最も発症数の多い疾患が悪性リンパ腫で、全国で年間2万人以上の発症があります(がんの統計‘13、公益財団法人がん研究振興財団)。

私たちの科では、固形腫瘍の患者さんの診療をしておりますが、造血器腫瘍の中では主に悪性リンパ腫の患者さんが対象となります。大学病院ならではの利点を生かし、PETやフローサイトメトリー、染色体検査、専門の病理医と連携した迅速で正確な診断が可能です。
また、治療では化学療法、放射線療法、そして分子標的療法(リキシマブ)等の集学的治療を行っております。

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肉腫

肉腫とは骨、筋、脂肪などに発生する悪性腫瘍で、いかなる部位にも発生します。

最も多く発生するのは、四肢、躯幹、後腹膜、および頭・頸部の骨・軟部組織です。
軟部肉腫には繊維肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、消化管間質腫瘍、骨の肉腫には骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫など、多くの種類があります。

治療は手術、放射線療法、化学療法があり、近年はそれらを組み合わせて行うようになってきています。化学療法で用いる薬剤には、ドキソルビシン、イフォスファミド、サイクロフォスファミド、ダカルバシン、ビンクリスチン、ゲムシタビン、ドセタキセルなどがあります。最近は、軟部肉腫の治療で、パゾパニブという分子標的薬を用いるようになっています。

消化管間質腫瘍では、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブなどの分子標的薬を用います。軟部組織の肉腫ではこれまで一般的に化学療法の有効性は高くありませんでしたが、近年では分子標的薬剤の導入により、治療効果の改善が期待されています。

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神経内分泌腫瘍

神経内分泌腫瘍は全身のどの臓器にも発生しうる悪性腫瘍です。
自覚症状は発生部位や腫瘍の性質により異なります。特にホルモンを産生するタイプのものは自覚症状が出やすくなります。インスリンを産生すればインスリノーマと名前が変わり、低血糖の症状が出ます。ガストリンを産生すればガストリノーマと名前が変わり、胃潰瘍による心窩部痛等が生じます。

そのほかにもグルカゴン、VIP、ソマトスタチン、セロトニンなどのホルモンを産生するタイプもあります。生じる自覚症状に対しては対症療法を中心に治療します。

一方、神経内分泌腫瘍は悪性腫瘍ですので腫瘍そのものへの治療が最も重要です。
早期であれば(遠隔転移や手術不能となる周囲臓器への浸潤が無ければ)外科的手術を行います。しかし手術不能の場合は薬物による治療を行います。

神経内分泌腫瘍は腫瘍の分裂速度(増大速度)により投与する薬剤が異なります。
分裂能が低いタイプにはストレプトゾシンという抗癌剤やエベロリムス、スニチニブなどの分子標的薬剤が投与され、一定の効果が認められています。

分裂能が高いタイプは神経内分泌がんと呼ばれ、その場合はシスプラチン+エトポシドまたはイリノテカン+エトポシドという抗癌剤治療が行われます。

当科では年間5-6例の神経内分泌腫瘍の治療に当たっています。もし薬物療法が必要な神経内分泌腫瘍と診断を受けた場合は、ぜひご相談ください。

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頭頸部がん

頭頸部は、頭蓋から頸部(首)にかけての部位をいいます。
頭頸部癌は、頭頸部領域に発生した悪性腫瘍です。頭頸部癌の特徴として、視覚、聴覚嗅覚、味覚などの感覚や呼吸、発声、嚥下などの重要な機能に関係することがあげられます。

そのため、治療は、治療効果とQOL(生活の質)保持のバランスを考え行う必要があります。当院では耳鼻咽喉科、放射線治療科、腫瘍内科、形成外科、歯科口腔外科から成る頭頸部キャンサーボードを催し、病期に合った最善の治療を提供するよう取り組んでいます。

当科の担当する薬物療法は、手術不能の局所進行例に対して放射線治療との併用で、また遠隔転移を有する進行再発例に対して行われます。セツキシマブ、5FU、シスプラチン、パクリタキセル/ドセタキセルなどの薬剤が使用されます。

セツキシマブはEGFR(上皮成長因子受容体)を標的とした分子標的薬剤で、従来の化学療法剤(5FU+シスプラチン)に併用して使用することで、手術不能進行再発症例の生存期間を延長することが示されています。

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腎がん

成人の腎臓に発生する悪性腫瘍のうち腎がんは最も頻度が高く、85-90%を占めます。50歳代後半に多く発生し、男性は女性より約2倍多く発症します。

喫煙、肥満、高血圧、慢性透析、von Hippel-Lindau病が危険因子です。緩やかに進行するものから急速に悪化するものまで、様々な予後をたどります。多くは健康診断で偶然発見されます。年間約15000人が罹患し(2006年)、4000人が亡くなる(2010年)のが現状です。

早期腎がんの治療は手術単独が標準ですが、遠隔転移を伴う進行腎がんでは化学療法、特に分子標的薬による治療が行われます。チロシンキナーゼ阻害薬のスニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、またmTOR阻害薬のエベロリムスやテムシロリムス、血管新生阻害薬のベバシズマブが用いられます。

これらの分子標的薬はそれぞれ特徴的な副作用があり、うまく治療を続けるにはその管理が大変重要です。薬物療法の専門家である私達にぜひご相談ください。

 

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原発不明がん

原発不明がんは全身の詳しい検査を行っても原発巣が特定できない転移性の悪性腫瘍です。

原発不明がんは全悪性腫瘍の数%を占めると報告されており、稀ながんというわけではありません。ただ、現在のがん治療は原発臓器に基づいて治療方針が決定されるため、原発臓器が特的出来ない「原発不明がん」は治療方針の決定が困難です。

従って、できるだけ原発臓器を推定できる様、詳細な検査を行います。
当科では病理部、放射線科と密接に連携を取り、原発臓器の推定を行うとともに、最適な治療法の選択を行っています。

腫瘍内科は臓器によらず、様々ながんの治療に精通しているため、原発不明がんの診療に最も適した診療科といえます。

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その他

腫瘍内科では上記の他にも比較的稀ながんについても診療をおこなっております。

例えば甲状腺がん、悪性黒色腫などは、これまで抗がん剤治療の有効性が極めて低いとされてきました。最近では、これらの癌に対しても有効な分子標的治療薬が開発され、高い治療効果が期待できるようになっています。

甲状腺がんでは、分指標治療薬の適性使用と治療成績の向上を目指し、甲状腺癌診療連携プログラム(http://www.jsmo.or.jp/thyroid-chemo/)が開始され、東北大学病院腫瘍内科の医師も協力しています。

腫瘍内科では最新の分子標的治療に積極的に取り組んでおります。

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